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2016.7.20

全国に700以上ある「二輪車通行禁止区間」 点検・見直しが求められるケースも

標識の正式名称は「二輪の自動車および
原動機付自転車通行止め」

●自動二輪車や原付の通行を禁止している道路区間が全国に700カ所以上あります。

●ライダーからは、「なぜバイクだけが通行禁止なの?」という疑問の声が上がっています。

●「規制を見直してほしい」という要望のある禁止区間について、現場を訪ねてみました。

 

規制見直しを求める意見が続々届く

一般社団法人日本二輪車普及安全協会(日本二普協)のWebサイトには、「二輪車通行規制区間情報」というページがあり、“二輪車に限って通行が規制されている道路区間”に関する情報を集めています。その区間数は、全国で700カ所以上にも上ります。このサイトでは、規制区間を示した地図と、規制の起点・終点付近の現場写真が閲覧できます。また、閲覧者からは、それぞれの規制区間に対する意見や要望を日本二普協宛てに送信できる機能を付け加えています。

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日本二普協では、「二輪車の通行禁止に関する情報は、一覧になったものが公開されていないので、まとまった情報源としては唯一のものだと思います。こうした規制があることをライダーに知ってもらって、ツーリングの前にあらかじめ規制区間をチェックしておくなど、役立ててもらいたいと考えています」と話しています。

二輪車の走行は危険なため通行禁止——「新橋地下道」

東京都内には69カ所の二輪車通行規制区間があります。そのうちの一つ、港区二丁目にある新橋地下道に行ってみました。

新橋地下道の入口手前

新橋地下道の入口手前

この地下道は、新橋から上野方面へと向かう片側2車線のトンネルで、第一京浜と昭和通りを結んでいます。二輪車は終日通行禁止のため、上野方面を目指すライダーはこの地下道を避けて、新橋交差点を右折し、昭和通りへと合流しなければなりません。ところが、新橋交差点には上野方面を示す右折の案内標識がないため、土地勘がないライダーはここで混乱してしまいます。
付近にいたバイク便のライダーに話を聞くと、「地下道を通れるようになればだいぶ便利になりますよ。新橋交差点は交通量が多くて、交差する部分が広いから、慣れていないと右折するのが難しく感じます。あの交差点をパスできるのはありがたいと思いますね」と話していました。
交通管理者は、この区間の規制の理由について、「進入路が急な下り勾配で、入口からすぐに急カーブになっており、道路の幅員も広くないため、二輪車が重大事故を起こす恐れがある」としています。

規制解除と安全対策をセットで!

入口の照明が暗い(新橋地下道)

入口の照明が暗い(新橋地下道)

新橋地下道の内部を見るため、タクシーに乗車してトンネル内を走ってもらいました。確かに、進入路を下っていくと、入口からすぐ右に大きくカーブしていました。この道をよく通っているというこのタクシーのドライバーは、「ここは入口が暗いから、スピードを出して走っていくと、思いのほかカーブが急なので危ないということでしょう。入口の照明をもっと明るくして、トンネルのカベにもっと目立つ急カーブの警告を出せばかなり違うでしょう。禁止するより安全対策をやってくれたほうが、私たちクルマにとってもいいことだと思います」と話していました。

うっかり進入するバイクが少なくない

うっかり進入するバイクが少なくない

ちなみに1時間ほど定点観測したところ、この地下道に誤って進入したバイクは4台もありました。一方、規制を守っているライダーを観察してみると、地下道の入口手前でとっさに進路変更したり、昭和通りへの合流でトラックの間に割り込むといった行動をとっており、迂回することによって、むしろリスクのある局面を増やしているようにもみえます。

横浜ベイブリッジとレインボーブリッジで異なる規制

日本二普協にはこんな疑問も届いていました。「東京のレインボーブリッジは125ccクラスのバイクが通行できるのに、横浜ベイブリッジは125ccクラスが通行できません。同じような橋なのに規制が異なるのはなぜでしょう?」

レインボーブリッジは125ccの通行が可能

レインボーブリッジは125ccの通行が可能

レインボーブリッジもベイブリッジも二層構造になっていて、橋の上層部はいずれも首都高速道路(以下「首都高速」)が通っていますが、これは自動車専用道路なのでそもそも125cc以下の二輪車は通行できません。しかし橋の下層部には、どちらも一般道路が通っています。レインボーブリッジの場合、下層部は都道となっており、自動二輪車は通行可能ですが原付は通行禁止です。一方、ベイブリッジの下層部は国道357号となっており、こちらは原付に加えて125cc以下の自動二輪車も通行禁止です。

レインボーブリッジの下層部(都道)

レインボーブリッジの下層部(都道)

横浜ベイブリッジの下層部(国道)

横浜ベイブリッジの下層部(国道)

この点について交通管理者は、「国道357号は、大黒ふ頭で首都高速と一部接続している部分があるため、125cc以下の自動二輪車を規制する必要があります。また、この路線は大型車の混入率が高く、橋梁部で風の影響が大きいことも車両を規制している理由になります」と説明しています。
しかしながら、大黒ふ頭などの港湾区域では、移動にバイクを利用している労働者が多く、125ccのスクーターもよく見かけます。横浜市中区や磯子区から大黒ふ頭に通うのにベイブリッジを渡れば10分で到着しますが、125ccクラスのバイクは、わざわざ横浜市の中心部を通って東神奈川の先まで大きく迂回しなければなりません。時間にしたら30分以上はかかるでしょう。
近隣住民の通勤の利便性など生活効率の向上のためにも、この125cc規制の見直しを検討してみてほしいものです。

大黒埠頭へのアクセスが飛躍的に改善する

大黒埠頭へのアクセスが飛躍的に改善する

ローリング族対策の通行禁止——「箱根旧街道」

二輪車の通行を規制する理由には、安全上の問題のほか、ローリング族(峠道を周回する競走型暴走族)といった一部の違法運転者を締め出すために、排気量や時間を指定して通行禁止にしている区間もあります。神奈川県箱根町の旧東海道(県道732号)もその一つで、毎年4月1日~11月30日の土曜・日曜・休日の8:00~15:00に限り、排気量550cc未満の自動二輪車を通行禁止にしています。ここでは原付(50cc以下)は規制対象外とされ、通行が認められています。

箱根旧街道に立つ車両通行止め(条件付き)標識

箱根旧街道に立つ車両通行止め(条件付き)標識

しかしながら、首都圏でも指折りの観光地である箱根で、行楽シーズンの土曜や日曜・休日に通行を禁止されるというのは、一般のライダーにとってたいへん残念な措置であり、550ccを境に通行の可否を分けるというのも不可解です。
交通管理者は、「箱根地区については現在もローリング族がなくならない状況であり、交通取り締りの実施や、道路管理者と連携して、ローリング走行しにくい環境づくりに努めているところです。そのため、現時点では規制の解除は困難です」としています。しかし、とくに生活の足として125ccを利用している地元ライダーは、迂回路の横浜新道が自動車専用道路のために通行できず、不便な思いをしているはずです。

行政・ライダーとも規制の点検を!

箱根の旧街道のほかにも、暴走族やローリング族対策の二輪車規制は、1980年代に始まっていることが多く、それから30年ほどが経過し、規制内容と交通実態が合わなくなっているケースがみられます。

標識の正式名称は「二輪の自動車および 原動機付自転車通行止め」

標識の正式名称は「二輪の自動車および
原動機付自転車通行止め」

無謀運転を取り締まることは当然のことながら、時代の推移とともに実態に即した通行規制が求められます。現在の交通実態と規制内容がかけ離れたものになっていないか、とくに古い規制については適切な点検が必要です。
また、行政の努力に期待するだけでなく、ライダーをはじめとした道路利用者が、標識の不備や規制への疑問を声に出して伝えることも大切です。そのために「標識BOX」(道路標識意見箱)といった制度があり、警察や道路管理者はいつでも意見を受け付けています。
日本二普協に集まったライダーの声が行政に届けられ、規制の見直しが前向きに検討されるよう期待したいものです。

「Motorcycle Information」2015年8月号・特集より

本内容をPDFでもご確認いただけます。

全国に700以上ある「二輪車通行禁止区間」 点検・見直しが求められるケースも