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2016.12.14

“三ない運動”から転換した群馬県 交通安全教育の充実に期待

安全教育の拡充をめざす群馬県

●群馬県は“三ない運動”を解除し、すべての県立高校で生徒の免許取得を妨げない方針に切り替えた。

●同県ではこれを機に、交通安全教育を拡充していこうという動きも出てきている。

●そうしたなか2016年「二輪車安全運転全国大会」で、群馬県の高校生等クラス選手が日本一になり、同県に朗報をもたらした。

“三ない運動”見直しの経緯

安全教育の拡充をめざす群馬県

安全教育の拡充をめざす群馬県

2014年12月に「群馬県交通安全条例」が制定され、同時に「群馬県の交通安全対策に関する決議」がなされたことに従って、群馬県教育委員会は、従来の「三ない運動」を廃止し、2015年7月に県内すべての県立高校の校長に宛て、「県立学校生徒の二輪車及び四輪車に関する交通安全指導の取組方針について」との教育長通知を出し、「学校は生徒の免許取得を妨げない」という新しい指導方針を提示した。
さらに同県交通政策課および同県警察本部、県教委が連携し、2015年12月には「群馬県交通安全教育アクション・プログラム」を策定し、安全教育の充実に向けて動き始めた。

新しい方針の内容とその後の変化

県教委が示した新しい指導方針は、バイクやクルマの免許について、学校は生徒の免許取得を制限しないというもの。これにより、バイクの「三ない運動」は形が崩れることとなった。ただ実際のバイク利用に関しては一定の制限を残しつつ、県教委としては「なるべくバイク利用の許可を与える方向で校則を見直すよう調整をお願いしている」と説明している。
新しい指導方針の通知後、県教委が行った「交通安全指導の取組方針に関する調査」(2015年11月1日現在)によると、高校生の原付免許取得者数は、県全体で前年の74人から88人に増加。自動二輪車の免許取得申請は、前年の0から11人に増加した。また、クルマの普通免許については教習所への入所者が前年の768人から1,113人へと大幅に増加している。県教委は、「方針見直し後の初年度としては、ある程度、変化があったと捉えています。いまは過渡期と考え、三ない運動を解除しても問題ないことが証明されるなど、周囲の理解を得るには時間をかけていくことが必要と思っています」と話している。
今後、高校生に対する安全運転講習などが拡充されることで、各学校の二輪車指導にもいっそうの変化が期待できるのではないだろうか。

交通安全教育に力を入れていく

2016年8月27日、群馬県前橋市にある群馬県運転免許センターのコースを使って、高崎地区の高校6校の合同による原付の「安全運転講習会」が公益財団法人群馬県交通安全協会の運営で開かれた。
当日は、原付通学を許可されている9人の生徒たちが、安全な発進や停止など基本的な運転技能と、安全確認の大切さをじっくり学んだ。

高校生対象の安全運転講習会

高校生対象の安全運転講習会

参加者の1人は、「免許取得して1年になりますが、発進時の後方確認など、忘れていました。安全運転のポイントを再確認できてよかった」と話し、納得した表情を見せていた。
同県交通安全協会では、「本県が策定した交通安全教育アクション・プログラムの一環として、現在、二輪車指導員の養成などに取り組んでいます。また、『グッドライダーミーティング群馬』や『二輪車安全運転群馬県大会』に、高校生の参加を積極的に推進していく考えです」と話している。
また、群馬県二輪車安全運転指導員協議会の二輪車インストラクターは、「本県は山間部が多く、高校生年代にもなれば通学などにバイクを利用したいと考える生徒は大勢いるはずです。安全運転をしっかり学んで、とくに危険を予測するセンスを身に付けることは、生涯にわたって大切な素養になります」と話していた。

群馬県の高校生等クラスが安全運転日本一に!

そうしたところ、群馬県にとって大きなニュースが飛び込んできた。今年の8月6~7日に行われた「第49回二輪車安全運転全国大会」で、高校生等クラスに出場していた群馬県代表の石綱拳大(いしづな けんた)さんが見事、バイクの安全運転日本一に輝いたのだ。

安全運転日本一の石綱さん

安全運転日本一の石綱さん

安全運転の日本一になった喜びについて、「嬉しいのはもちろんですが、文部科学大臣賞の賞状を手にしたら、なんて重みがある優勝なんだろうと感じました」と話す。
大会に出場したのは、クラブの顧問の先生に「バイク好きなら県大会に参加してみなさい」と、勧められたのがきっかけ。それから2年間、県チームの特訓に参加してトレーニングを受けたという。
高得点のコツは、「課題の内容を読み取って、大事なポイントを“無難にこなす”ことです。うまいところを見せようとして欲が出ると、減点につながります」といいます。そして、そうした心構えこそ、普段の運転でもスピードを抑えたり、無理な走行をしないといった、自制の効いた運転につながると石綱さんは話している。
石綱さんに培われた心と運転技術こそ、まさに交通安全教育の賜物といえそうだ。

JAMA「Motorcycle Information」2016年9月号ズームアップより
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF: 三ないから転換群馬