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2019.11.13

時代の波に乗るレンタルバイク 需要の源泉とトレンドを探る

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●バイクのレンタルビジネスが、市場を拡大し活況を見せている。

●さまざまなレンタルメニューが次々投入され、活性化につながっている。

●店舗を持たない“セルフレンタル”といった画期的なサービスもある。

高級車、別荘、ボート、ブランド品など、世の中では“借りて楽しむ生活”が一般的になりつつある。バイクのレンタルもこの10年ですっかり定着し、“借りて乗るライダー”の数は確実に増えている。注目されている3つのブランドを訪ね、ビジネスのトレンドを探った。

成長するレンタルバイクビジネス

いまやバイクのレンタルサービスは、二輪車販売店はもちろん、専門ショップ、バイク用品店、空港、駅、高速道路のサービスエリア、ガソリンスタンド、教習所など、いろいろな場所で営業されている。
国の統計資料によると、全国のレンタルバイク事業者数は2018年3月末現在で220事業者、車両数は2,789台*注。2013年と比較すると、事業者数は約1.3倍、車両数は約1.5倍に増えている。業界関係者は、「レンタルバイクの市場規模は全体で10億円を超えようとしている。成長ビジネスとしての可能性はこれからが本番で、事業を拡大するためのアイデアは豊富にある」と意気込む。
*注:車両数に原付二種以下(排気量125㏄以下)は含まれていない。

全国の二輪車販売店をネットワーク――モトオークレンタルバイク

自動車・二輪車などのオークションを運営する株式会社オークネット(東京都港区)が、「モトオークレンタルバイク」(以下モトオーク)のブランドで事業を開始したのは2012年のこと。二輪車オークションのネットワークを基盤に、現在、全国121の二輪車販売店が事業に参加。年間の貸し出し台数(稼働車両数)は延べ5,700台を超えている。
モトオークの場合、ユーザーはWebサイトで自分の条件に合った車両を選んで予約し、該当する二輪車販売店でバイクを借り出すことができる。広報担当者は、「ユーザーは、二輪車販売店で車両を借りられることに安心感があるようです。車両の品質や状態について、販売店が扱っているという信頼感が大きいのです」と話す。

オークネットのオペレーションルーム

オークネットのオペレーションルーム

店ごとの独自キャンペーンなど“お得なサービス”も

特徴的なのは、モトオークのレンタルシステムを活用している二輪車販売店のなかには、独自のブランドとアイデアを前面に出してサービスを行っているケースがあることだ。
たとえば今年3月にオープンした「K ユーズド&レンタル東京」(東京都大田区)は、カワサキモータースジャパン株式会社の直営店。カワサキが市販している全機種・全カラー(現在40台)のなかから目当ての車両をレンタルできるのが特色。今年の“鈴鹿8耐”でカワサキが優勝した際には、一部のレンタル料を無料にするなど、専門ブランドならではのお得なサービスも企画している。

Kユーズド&レンタル東京の店内

Kユーズド&レンタル東京の店内

「バイカーズステーション金沢」(石川県金沢市)は、北陸新幹線の開通でアクセスが便利になり、地域の観光振興の観点から、レール&レンタルバイクによる旅の楽しさをアピールしている。とくに首都圏の女性ライダーをターゲットにして、「レンタルバイクで行く女子能登旅」と銘打って、インスタ映えするスポットを押さえたツーリングルートを提案。女性スタッフがバイクで同行して、観光ポイントやグルメを案内するなど、レンタルバイクでの旅を2倍、3倍と楽しめる企画が人気を呼んでいる。

バイカーズステーション金沢

バイカーズステーション金沢

モトオークでは、「レンタルバイク事業をうまく活用することで、お店の売り上げだけでなく、さまざまなメリット、活性化につながります。2012年当初は消極的だった販売店も、いまでは参入に関心を持つ店が増えています。今後、さまざなサービスメニューを開発して、レンタルバイクのネットワークをいっそう拡大していきたい」と話している。

ピカピカのスポーツバイクを楽しめる――レンタル819

株式会社キズキレンタルサービス(埼玉県川口市)は、「レンタル819」のブランド名で全国展開している。“借りて楽しむバイク”の定着に大きく貢献してきたブランドだ。
同社では、「憧れのスポーツバイクを、レンタルで楽しめるようにしようというのが最初の発想でした。いつでもピカピカの新しいバイクを貸し出すことで、ワクワク感をもって楽しんでもらえる。そういうサービスにこだわってやってきました」という。

レンタル819(新千歳空港店)

レンタル819(新千歳空港店)

レンタル819は、全国で直営店が7店舗、フランチャイズ店が139店舗あり、年間約7万件の利用実績がある。こうした需要の源泉はどこにあるのか――。
「いまの時代は、所有することにストレスを感じる人が増えているんです。とくに若い人たちは、月に何回も乗らないのに、車検、タイヤ交換、駐車場の更新、保険、税金と、やることが多くてウンザリ。レンタルなら、自分は何もしなくても、ちゃんと整備されたバイクが出てきてツーリングが楽しめます。借りて乗るほうが気軽で便利だという考えは、徐々に広まっています」(同社広報)
また、40代以上の世代になると、むしろ“所有したい人たち”がバイクを借りにくるという。「つまり、バイクを購入する前に、試乗してみたいという人たちです。弊社はニューモデルを多くそろえていることもあって、試乗目的のレンタル需要はかなり大きい。あとは、スポーツバイクを1台所有したうえで、オフロード、クルーザーなどほかのジャンルにも乗りたいという人など、高収入のユーザーが増えています」という。

さまざまな需要に応じたサービスを展開

レンタル819では、ユーザーのニーズを捉えてさまざまなプランを企画し、積極的に商品化している。最近、とくに人気があるのが、「マイガレ倶楽部」(マイガレージクラブ)という会員制のサブスクリプション。年間契約を結んで月額固定でのレンタル料金を支払うことで、設定された車両のなかから好きなバイクを年間24回まで(月3回、1回24時間が限度)レンタルできるというもの。グレードによって異なるが、たとえば排気量1,100ccのスポーツモデルを年に24回借りた場合、通常だと44万6,400円かかるところ、マイガレ倶楽部なら11万7,600円で利用できる(2019年9月1日現在)。破格のコストパフォーマンスが注目され、現在、約2,000人が会員となっている。
また今年6月から始めた新サービス「Kurabe-gai」(くらべ買い)は、バイクの購入を検討している人を対象に、人気のバイク3台をパッケージにして、1カ月に1台ずつ、3カ月にわたって利用できるプラン。じっくり乗り比べて、納得のバイク購入に役立ててもらおうという商品だ。

レンタルバイクに革命をもたらす――ベストBike

駅近くの駐車場に置いてあるバイクを24時間いつでも好きな時間に借り出せる。ショップが存在せず、対人での手続きがないから、深夜の出発、早朝からのツーリングもまったく問題なし。そんな画期的なサービスが「ベストBike」の“セルフレンタル”だ。
どんな仕組みでそれが可能なのか――。バイクをレンタルするのに必要な情報のやり取りと手続きは、すべてベストBikeのWebサイトで行う。まずユーザーは、同サイトに免許証の画像を送信して会員登録を済ませる。利用日時と、借りたいバイク、借り受ける場所(指定バイク駐車場)を予約。料金はカードまたは銀行振り込みで決済される。駐車場には利用開始時刻までにバイクが搬入されており、ユーザーはメールで知らされた暗証番号をもとにキーボックスから鍵を入手。これでバイクが借り出せる。
返却も簡単で、燃料を満タンにして、借り出した駐車場にバイクを駐車。鍵をキーボックスに封入し、駐車したバイクの写真を専用Webサイトへ送信する。これで終了だ。

 

●借り出しの手順

●借り出しの手順

●返却の手順

●返却の手順

このサービスを運営している株式会社ベストBikeは、2016年に創立した新しい会社。現在、レンタル車両は150台ほど稼働している。貸し出し拠点となるバイク駐車場は全国で130カ所ほどあり、駅や空港に近いのでアクセスに便利なのが特徴だ。
同社では、「レンタルバイクをもっと身近で便利なものにしたいという思いがあって、考えに考え抜いたシステムです。誰にも会わずにスマホ1つで完結するので“セルフレンタル”と呼んでいます」と話す。

駐車場から借り出すセルフレンタル

駐車場から借り出すセルフレンタル

シェアリングに発想を得たレンタル車両の供給

現在、ベストBikeは、本部の実績だけで年間延べ1,000台の稼働台数がある。これから事業を拡大するために必要なのは、セルフレンタルの拠点となる駐車場の確保と、レンタル車両の供給だ。
同社では、「拠点拡大は、大手駐車場事業者との連携を進めているところです。レンタル車両の供給については、いま取り組んでいるアイデア、いわゆるシェアリングの発想に近いのですが、一般個人が所有するバイクを、レンタル車両として貸し出してもらうのです」という。
つまり、バイクを持っている個人が、レンタル車両のオーナーとしてベストBikeに登録し、ユーザーからの予約が入ったら、自分で自分のバイクを指定の駐車場に設置する。あとは返却通知を待って、車両の回収に向かうという仕組みだ。現在の規定では、レンタル料金の60%がオーナーの収入になる。1,000㏄クラスのスポーツバイクを24時間貸し出すと、1回で約1万2,000円が支払われる。
「乗る機会が少なくてバイクを手放そうか迷っている人は案外多いもので、他人に乗ってもらうことで自分のバイクが利益を生むなら置いておきたいという人がけっこういるんです。利用者からも家族からも喜んでもらえますからね。オーナーの数は思った以上に増えています」(同社担当者)。本格的な軌道に乗れば、レンタルバイクに革命をもたらすビジネスモデルといえそうだ。

JAMA「Motorcycle Information」2019年10-11月号/特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:時代の波に乗るレンタルバイク