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2019.12.25

電動バイク普及への取り組み 見えてきた可能性と課題(さいたま市)

001_電動バイク

●さいたま市は、電動バイクの普及を促進する取り組みを行っている。

●電動バイクを利用した市民の評価は上々だ。

●バイク未経験者の満足度が高い一方で、課題はバッテリー切れへの不安。

一般市民の電動バイク利用をモニタリング

電動バイクの普及に向けて、さいたま市と二輪車メーカーが協力して実証実験(利用モニタリング)を行っており、その第4期の実験が2019年10月末日に終了した。
取り組みを行っているのは、さいたま市、本田技研工業、ヤマハ発動機で組織する「電動二輪車実証実験推進協議会」。2017年2月に発足し、これまで4期にわたる実験を通じて、電動バイク普及の可能性を探ってきた。実験は、市民に電動バイクを有料で貸し出し、一定期間利用してもらい、車両の実用性や使用感などをモニタリングし、普及へのヒントをあぶり出そうというもの。第1期から第4期までの実験結果について、さいたま市の担当者に話を聞いた。

●電動バイク実証実験(第1期~第4期)の期間とモニター人数および使用車両

●電動バイク実証実験(第1期~第4期)の期間とモニター人数および使用車両

モニターの8割以上が「便利」と評価(第1期)

さいたま市 環境未来都市推進担当によると、第1期のモニター25人のうち、50%が電動バイクを「ほぼ毎日利用」し、32%が「平日のみ利用」、18%が「不定期利用」という状況だった。そして全体の82%が、「モニターになって便利と感じた」と答えており、電動バイクの導入によって生活の利便性が向上し、満足感を得ているモニターが多いことがわかった。
満足感について詳しく見たのがグラフ1で、「移動が楽になった/楽しくなった」(62.5%)、「経費の節約になった」(58.3%)、「自宅⇔駅間の移動が楽になった」(58.3%)といった項目で、評価が高かった。

●グラフ1:実証実験(第1期)モニターの感想

●グラフ1:実証実験(第1期)モニターの感想

一方、電動バイクの走行性能については全体の55%が、スピードや加速力、1回の充電で航続できる距離(29㎞=30km/h定地走行テスト値)に不足感があると指摘した。
さいたま市の担当者は、「バイク(ガソリン車)の利用歴がある人の6割以上が電動バイクの走行性能に物足りなさを感じたようです。しかし、バイクの利用歴がない人の7割以上が走行性能に不満を感じませんでした。バイクの未経験者のほうが、電動バイクに馴染みやすいのではないかと考えています」と話す。

電動バイクを気に入って購入した人も(第2期)

そこで実証実験の第2期では、過去にバイクの利用歴がない人や、女性、学生を中心にモニターを募集した(16人)。実験結果をみると、利用頻度は「ほぼ毎日」が24%、「平日のみ利用」が53%、「不定期利用」が24%。そして「モニターになって便利と感じた」のは全体の88%と、第1期よりも評価はさらにアップした。
満足感の内容をみると(グラフ2)、すべての項目で第1期より第2期のほうが肯定的な回答が増え、電動バイクをより好意的に受け止めていることがわかる。

●グラフ2:実証実験(第2期)モニターの感想

●グラフ2:実証実験(第2期)モニターの感想

実際、モニター期間を終えた後、電動バイクを購入する人もいて、決してうわべだけの評価ではない様子。20代の女性モニターは、「音が静かでいいですね。走り出すのが怖くない。ガソリンスタンドも苦手なので、給油に行かなくてすむところもいい」と、気に入った点について話している。

原付二種の電動バイクを実証実験(第3期)

ただ課題としては、第1期、第2期とも、走行性能や航続距離の不足を指摘する声があったため、第3期の実証実験では、2018年11月に発売された原付二種の電動バイク、ホンダ「PCX ELECTRIC」を使ってモニタリングを実施することにした。バイク利用歴のある30~50代の男性4人が、3カ月間にわたって利用した。

実証実験に使用したPCX ELECTRIC

実証実験に使用したPCX ELECTRIC

実験終了後のヒアリングでは、モニターはそれぞれ、「小回りが利いて、使い勝手が良かった」、「移動経費の節約になった」と、好感触。この電動バイクは1回の充電で41km(60km/h定地走行テスト値)走行できるため、自宅から会社までのダイレクト通勤にも問題なく利用できたという。
さいたま市の担当者は、「原付二種の電動バイクになると、市内の通勤利用ならば航続距離への不安はないようです。外出先で急速充電ができればもっと便利になるという意見もありました」という。

電動バイクを安心して利用するために(第4期)

こうして電動バイクの利便性はある程度実証された一方、原付一種には航続距離への不安という課題がまだ残っていた。そこで実証実験第4期では、試験車両を再び原付一種のヤマハE-Vinoに戻し、モニターを10人募集。航続距離への不安をいかに解消するかに焦点を当てて、モニタリングを行った。

再びE-Vinoでモニタリングを実施する

再びE-Vinoでモニタリングを実施する

第1期と第2期では指定の駅駐輪場でバッテリー交換サービスを行ったが、新しい取り組みとして、第4期では市内に5カ所*注のバッテリー交換ステーションを設置した。これによってバッテリー切れの不安が緩和され、電動バイクの行動範囲が拡大するか検証しようというものだ。

*注:バッテリー交換ステーションは、①さいたま市役所、②さいたま市美園コミュニティセンター、③さいたま市馬宮コミュニティセンター、④サイデン化学アリーナ(さいたま市記念総合体育館)、⑤さいたま市岩槻区役所の5か所に設置した。

 

さいたま市の担当者は、「わずか10人のモニターです、場所によっては頻繁に使われたステーションがあったので、多くの人のニーズに合う場所にステーションを設置することで、電動バイクの“息継ぎ”が可能になり、バッテリー切れの不安を払拭できる可能性はありそうです」と話す。

普及へのヒントと課題が見えてきた

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また、さいたま市の担当者は、次のように全体の成果についてまとめた。「これまでの実証実験の結果を踏まえると、電動バイクの有用性は認められ、通勤・通学や用足し、シェアリングでの利用、配達業務などのビジネスユース等、さまざまな活用が望めそうです。走行性能の不足感など指摘はありましたが、初めてバイクを使う人にとっては大きな問題ではありません。とくに女性や若者には抵抗感が少ないことがわかり、電動バイクを訴求していくヒントになりそうです。いまいちばんの課題は、どうしても電動車両は価格が高いため、なかなか普及への弾みがつかないこと。また、バッテリー交換ステーションといったインフラをどう整えるかが、今後の課題といえそうです」と話していた。

JAMA「Motorcycle Information」2019年12月号/ズームアップより
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:電動バイク普及への取り組み見えてきた可能性と課題(さいたま市)