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2020.6.3

出勤ラッシュの切り札! 原付二種が普及したまち

原付から大型バイクまで、二輪車の交通量が多い(那覇市内)

●全国の市区町村から原付二種の普及率が高いまちを割り出した。

●そのトップ10に、沖縄の6市町がランクイン。

●なぜ沖縄には原付二種が多いのか、現地を訪ねて理由を探った。

原付から大型バイクまで、二輪車の交通量が多い(那覇市内)

原付から大型バイクまで、二輪車の交通量が多い(那覇市内)

原付一種(50cc以下)に引き続き、今度は原付二種(50㏄超~125㏄以下)に焦点を当て、その普及率がトップクラスのまちを訪ねる。全国の市区町村ごとに原付二種の普及率を算出したところ、全国第1位は神奈川県葉山町だった。そして2位から8位までに、沖縄県の6市町がランクインするという興味深い結果になった。まず、沖縄を訪ねてみる。

沖縄県に広まった原付二種の普及

全国の1万世帯以上を擁する市区町(883団体)について、1,000世帯当たりの原付二種の普及台数を調べたところ、沖縄県の豊見城市が107.5台で全国2位。ほかにも沖縄県勢は全国3位・南風原町、5位・西原町、6位・浦添市、7位・那覇市、8位八重瀬町と、上位を占めた。
原付一種の普及率では上位に入らなかった沖縄県の市町だが、原付二種となるとなぜトップクラスに浮上するのか、理由があるはずだ。

バイクの多さは一目瞭然

バイクの多さは一目瞭然

とくに原付二種が目立っている

とくに原付二種が目立っている

原付二種といえば、原付一種並みに軽量コンパクトで小回りが利き、よりパワーがあるため長距離走行も可能。高速道路は走行できないが、優れたコストパフォーマンスが魅力。沖縄のまちで、どう使われているのだろうか。

深刻な交通渋滞の緩和に取り組む那覇市

沖縄県の県庁所在地である那覇市を訪ねた。人口31万8,000人、14万9,000世帯を擁する都市だ。官公庁が集積し、商業、観光、文化の中心地となっている。
同市の原付二種保有台数は1万3,435台で、1,000世帯当たりの普及率は90.3台、全国7位となっている。市内を通る国道329号の交通状況を観察してみると、クルマの数が多く、またバイクの数も少なくない。スクータータイプが多くを占め、ピンク色のナンバーで原付二種とわかる。
那覇市 都市みらい部 都市計画課では、「本市内の平均旅行速度は、全国の県庁所在地の中でワースト1となっています。沖縄には鉄道がなく、公共交通は路線バスとモノレールです。このためマイカー利用が多く、市内各所で交通渋滞を引き起こしています。市の交通政策として、“誰もが移動しやすいまちをつくる”を目指して、多様な交通手段の充実、交通渋滞緩和などに取り組んでいます。実際、通勤目的で市域内を移動する自転車とバイクを合わせた“二輪車”の交通分担率は20%を超えており、この数字はかなり高い水準です。移動手段としてバイクの役割は大きいものと考えています」と話す。

那覇市の国道329号クルマもバイクも多い

那覇市の国道329号クルマもバイクも多い

那覇市ではバイクの利用環境向上のため、市内に二輪車駐車場の整備を促している。同市が設置する施設のほか、2020年1月1日からは、二輪車駐車場の附置義務条例を施行して民間での“受け皿”の拡大にも当たっているという。
同課のある職員は、「私も市外から原付二種で通勤しています。距離が長いので原付一種ではこなせないし、かといってクルマ通勤だと、市役所周辺では駐車料金が1カ月1万5,000円以上かかります。バイクなら3,000円程度で済むのが大きいですね。通勤目的の移動手段として、原付二種の利便性は非常に大きいと思います」と話していた。

モノレール利用者のために設置されたバイク駐車場(無料)

モノレール利用者のために設置されたバイク駐車場(無料)

原付二種は通勤ラッシュの“切り札”

原付二種の普及率が全国2位の豊見城市は、那覇市の南に接している。人口6万4,000人、2万5,600世帯を擁しており、原付二種の保有台数は2,754台、1,000世帯当たりの普及率は107.5台となっている。
原付二種が普及している要因について、豊見城市 都市計画部 都市計画課では、「本市から那覇市内へと通勤するための交通手段として、原付二種を使っている人たちが多いのだと思います。現状としては、那覇市の労働人口の約4割は市外からの流入で、本市からも毎日約9,000人が那覇市内へと通勤しています。幹線道路が限られているし、朝夕の交通渋滞が激しいので、那覇方面へのアクセスはバイクがいちばん速くて便利です」と話す。

那覇市内の月極めバイク駐車場周辺市町の原付二種が多い

那覇市内の月極めバイク駐車場周辺市町の原付二種が多い

また、「本市の場合、自宅でバイクの置き場に困るケースは少ないのですが、那覇市内では、バイクでも駐車場所を確保するのがたいへんです。雇用対策としてバイク置き場を用意している会社もあると思います」と話す。
2人のアドバイスを受けて、豊見城市から那覇市へのバイク通勤スポットで撮影を行った。見ての通り、車線を埋めているのは原付二種。まさに通勤ラッシュ時の“切り札”として、多くの市民に活用されているのである。

原付二種の通勤風景(朝7時30分「明治橋」付近で撮影)

原付二種の通勤風景(朝7時30分「明治橋」付近で撮影)

原付二種の普及率日本一は神奈川県葉山町

そして原付二種の普及率日本一のまちは、神奈川県葉山町だ。葉山町は、三浦半島北西部にあり、北は逗子市、東と南は横須賀市に接し、西は相模湾に面している。人口3万3,000人、1万4,300世帯を擁しており、原付二種の保有台数は1,752台、1,000世帯当たりの普及台数は122.2台となっている。
3月上旬、葉山町を訪ねた。沖縄ほどバイクの交通量は見られなかったが、それでもチラホラと原付二種が目に止まる。

葉山町は道が狭く交通渋滞が深刻

葉山町は道が狭く交通渋滞が深刻

葉山町 総務部 税務課では、「町内では原付一種の保有は減少傾向にありますが、原付二種は年々増加しており、町民の間に浸透しているのだと思います」と話す。
原付二種が普及している要因について尋ねると、「葉山町には鉄道の駅がないため、公共交通機関は路線バスだけです。逗子方面へのアクセスも、横須賀方面へのアクセスも、片側1車線の狭い道路しかないため、交通渋滞が避けられません。小回りの利くバイクなら渋滞の影響を受けにくいため、バスやクルマの移動にストレスを感じる人は、バイクをうまく活用しているのだと思います」という。
まちの実勢としては、毎日の通勤で、逗子方面、横須賀方面へ向かう就労人口が多く、朝夕の幹線道路は、バスもマイカーもノロノロ運転。横須賀の中央方面や、逗子を越えて鎌倉市、藤沢市への通勤となれば、原付一種には距離が長い。だからこそ葉山町の人たちにとって、原付二種こそがベストな交通手段なのだ。

●葉山町の原付二種保有台数(各年7月1日)

●葉山町の原付二種保有台数(各年7月1日)

同課の担当者は、「近年とくに、原付二種のメリットが広く認知されるようになってきたのではないでしょうか? 時速30㎞制限がないからクルマの流れに乗れる、駅の駐輪場に駐車できる、税金や保険など維持費も安い、二人乗りも可能など、私自身、免許を取って原付二種で通勤しようかと考えているところです」とのことだ。

交通困難地帯で機動力を発揮する原付二種

横須賀市内でバイクショップを経営する湘南森モータースの森 雄一さんは、横須賀二輪車安全普及協会の会長を努めている。仕事の手を休め、葉山町の交通事情について話してくれた。

原付二種の利便性が認知されている

原付二種の利便性が認知されている

「葉山町は御用邸もあって別荘地として全国に有名です。海もきれいだし、優雅でオシャレなイメージがあります。しかし現実には、葉山や横須賀のある三浦半島自体、東京からも遠くないのに、いくつもトンネルをくぐらないとアクセスできない“陸の孤島”のような不便さがあります。半島なので土地に起伏があって平地が狭い。海水浴シーズンになるとどっと人が押し寄せて、海岸沿いの道路はぴったりと動かなくなります。抜け道もありません。典型的な交通困難地域が点在しているのです。シートの後ろにお子さんを乗せて走っているお母さんを見かけたりすると、三浦半島の暮らしのなかで、原付二種は本当に大事な足になっていると思います」と話している。
ちなみに、葉山町では、2019年10月1日から原付のオリジナルナンバープレートを交付している。海と夕日と富士山、サーフボードを積んだクルマ、ノスタルジックなバス停、そして右下の隅にはツーリングのバイクも描かれている。同町の雰囲気をよく表しているとして、まちの人たちからたいへん好評だそうだ。

葉山町の原付ナンバープレート(90cc超~125cc以下)

葉山町の原付ナンバープレート(90cc超~125cc以下)

〈資料〉全国・原付二種の世帯普及率ランキング(20傑)

市区町村別の原付の保有台数は、総務省の「軽自動車税に関する調」より、原付二種の賦課期日現在台数(2018年7月1日現在)を抽出した(表中の原付二種の欄)。人口および世帯数は、総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2019年1月1日現在)から抽出。ランキングは、1万世帯以上の都市(883団体)を対象とした。20傑を一覧表にした。

●1万世帯以上を有する市区における原付二種普及率(上位20団体)

●1万世帯以上を有する市区における原付二種普及率(上位20団体)

JAMA「Motorcycle Information」2020年4月号/特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:出勤ラッシュの切り札!原付二種が普及したまち