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2016.6.8

道路を活用したバイク駐車場など集めた 『自治体の二輪車駐車場 事例集2016』発行

●日本自動車工業会 二輪車特別委員会は、『自治体の二輪車駐車場事例集2016』を発行しました。

●道路を活用して整備した二輪車駐車場などに焦点を当て、33件の事例を取り上げています。

●駐車場政策にいま何が求められているか、事例集のなかから紹介します。

 

自治体の取り組みにいっそう期待

今回、日本自動車工業会・二輪車特別委員会がまとめた事例集は、東京都の3区1市と、政令指定都市など10市が整備した二輪車駐車場33件を集め、どのような場所になぜ設置することができたかなど、写真を豊富に使って説明しています。
現実問題として、自治体に共通する課題は、駐車場用地の確保が困難な点です。そこで、今回の事例集では主に道路区域に駐車スペースを見出して整備された二輪車駐車場を取り上げ、整備のポイントやメリットを紹介したものとなっています。

自治体の二輪車駐車場事例集2016

民間の道路占用により駐車場を増やす——神戸市

近年、道路を活用して二輪車駐車場を増やしている自治体で、とくに注目できる施策を行っているのが神戸市です。同市の中心スポットである三宮と、ショッピング街として賑わう元町に、二輪車駐車場が続々とオープンしました。

フラワーロード西 原付(125cc以下)専用駐車場

フラワーロード西 原付(125cc以下)専用駐車場

写真は、JR三ノ宮駅の北側に整備された「フラワーロード西 原付(125cc以下)専用駐車場」で、歩道の一部を削って整備されました。飲食店が立ち並ぶ北野坂にも、同じようにして整備された「北野川線原付専用駐車場」があります。いずれも、整備により、道路環境の改善につながっています。
また、JR元町駅の北側にはサンセット通りと呼ばれる市道がありますが、その歩道部分に、大型バイクがズラリと並ぶ「若菜神戸駅線自動二輪専用駐車場」が2015年4月にオープンしました。ライダーからは「とても便利」と好評です。

若菜神戸駅線自動二輪専用駐車場

若菜神戸駅線自動二輪専用駐車場

注目したいのは、これらの駐車場は、神戸市が道路の占用許可を民間事業者に出し、整備・運営されていることです。設置場所に関しては、道路管理者である神戸市と交通管理者(警察)が協議して決定していますが、駐車場事業に実績のある民間企業が主体的に参入することで、独自のノウハウで運営しているのが特徴です。

パーキング・メーターを転用——大阪市・横浜市

道路に駐車場を作る場合、自治体の整備部局は、道路管理者や交通管理者と情報交換して整備内容を練る必要があります。二輪車の駐車場不足に課題意識のある都市では、日頃から道路交通政策に関する連絡会議などで、いかに駐車場を確保するかを議題にしています。そのなかで自動車のパーキング・メーター枠を二輪車駐車場に転用しようというアイデアも生まれています。
大阪市では2013年6月、繁華街として有名な梅田に近い中崎町の都島通で、自動車のパーキング・メーター7台分を転用し、自動二輪車43台を収容できる「中崎町24H自動二輪車専用駐車場」を開設しました。

中崎町24H自動二輪車専用駐車場

中崎町24H自動二輪車専用駐車場

また、横浜市では2014年5月、横浜駅西口にパーキング・メーターを転用して、二輪車も駐車できる「横浜駅西口第十二自転車駐車場」を開設しました。

横浜駅西口第十二自転車駐車場

横浜駅西口第十二自転車駐車場

パーキング・メーターを転用して二輪車駐車場を整備するという方法は、全国でも数少ない貴重な取り組みです。大阪市や横浜市に続くケースが出てくることも十分考えられそうです。

欧州型の路上駐車施設を運用——川崎市

川崎駅東口周辺自転車等駐車場 第7施設

川崎駅東口周辺自転車等駐車場 第7施設

イギリスやイタリア、フランスなど欧州諸国では、道路上に四輪車や二輪車の駐車場を整備するのが普通で、路面に白線で枠を描いただけの駐車スペースが街のいたるところに見られます。ユーザーにとっては気軽に利用でき、行政側にとっては整備費用があまりかからないというメリットがあります。数は少ないけれど、日本にも欧州諸国に近いスタイルの二輪車駐車場を供用している自治体があります。川崎市がその一つです。
川崎市では、「道路区域への整備は、公有地を有効利用する観点から、車道と歩道に十分な幅員を確保できることを条件に、警察との協議を経て設置しています」と話しています。条件がそろえば、わが国でも欧州のスタイルに近い路上駐車施設の導入は可能ということです。

条例改正で自転車駐車場への受け入れが進む——岡山市

さて、ここまでは道路を活用した二輪車駐車場のケースを見てきましたが、近年、“自転車条例”を改正することで、市営の自転車駐車場に自動二輪車を受け入れるケースが増えてきています。そうしたケースは、『自治体の二輪車駐車場事例集 2013』http://www.jama.or.jp/motorcycle/environment/autonomy_motorcycle_parking.htmlで数多く取り上げてきましたが、今回の事例集でも岡山市の事例について紹介しています。

北長瀬駅南口自転車等駐車場

北長瀬駅南口自転車等駐車場

同市の場合、従来、市営自転車等駐車場の対象車両を排気量50ccの原付までとしていましたが、「岡山市自転車等駐車場条例」を改正し、2014年10月から市営有料自転車等駐車場の一部に自動二輪車の受け入れを開始しました。写真は、条例改正後にオープンした新しい二輪車駐車場(北長瀬駅南口自転車等駐車場)です。

「Motorcycle Information」2016年3月号・特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。

『自治体の二輪車駐車場 事例集2016』発行