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2018.9.12

「BIKE LOVE FORUM」東北地方で初開催 バイク文化と二輪車市場への提案

第6回となった今年の「BIKE LOVE FORUM」(BLF)は、東日本大震災のあった東北地方へ初めて足を伸ばし、岩手県一関市で開催された。今回は、岩手の観光や食についてのPRショーのほか、ライダーに人気の二輪専門誌編集長らが集まり、二輪車の将来に向けて熱い意見が交わされた。

岩手県の魅力をアピールする「岩手まるごとおもてなし隊」

岩手県の魅力をアピールする「岩手まるごとおもてなし隊」

経済産業省のメッセージ

ベリーノホテル一関の会議場はBLFの関係者と一般来場者で満席。開会の冒頭、経済産業省製造産業局自動車課・河野太志課長が壇上に立った。河野課長は「自動車産業全体をみるとアメリカの自動車輸入規制(関税賦課)の動きや、自動走行、電動化など、大きな関心事があり、わが国としても自動車業界と一緒に戦略立案を加速させ、国内外へ政策を発信していきたい。二輪車に関しては、BLFのメンバーで進めている『二輪車産業政策ロードマップ』が少しずつ成果をみせており、バイクを巡る環境整備が進んできた。こうした取り組みを通じて、バイクユーザーの拡大につながるよう、皆さんと一緒になって盛り上げたい」と挨拶した。

経済産業省自動車課河野課長

経済産業省自動車課河野課長

河野課長が挨拶で触れたロードマップの具体的な進捗状況については、同省自動車課・内藤貴浩課長補佐が報告し、AT小型限定普通二輪免許に係る教習日数の合理化や、高速道路の二輪車ETC・ツーリングプランの拡充実施、高校生への交通安全教育の充実など、取り組みが好転しているとの紹介があった。

岩手県_保副知事

岩手県_保副知事

また、岩手県からは保 和衛副知事が挨拶に立ち、知事からのメッセージを代読。岩手でのBLF開催を歓迎し、東日本大震災による被災地への復興支援に感謝の意を示した。保副知事は、「世界遺産である平泉、十和田八幡平、三陸復興国立公園など岩手は見どころがたくさんあります。安全、無事故でツーリングを楽しんでください」と述べた。

文化の創造――被災地へバイクで行こう!

〈パネルディスカッション① 出席者〉
三浦貴子さん・フリーアナウンサー(モデレーター)
菅生雅文さん・『アウトライダー』編集長(盛岡市出身)
斎藤 淳さん・文芸作家(盛岡市在住ライダー)
伊勢ひかるさん・モータースポーツカメラマン(一関市在住ライダー)
戸舘弘幸さん・岩手県商工労働観光部ものづくり部長
隠岐直広さん・日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)事務局長
パネルディスカッション①

パネルディスカッション①

今回のBLF開催地・岩手県は、2011年3月に発生した東日本大震災の被災県の一つ。パネルディスカッション①は、「素晴らしいバイク文化の創造」がテーマだが、モデレーターの三浦貴子さんが「そのためには、バイクが地域社会から受け入れられる必要がある」と投げかけると、議論は「被災地のためにライダーには何ができるか」を語り合うものになった。
『アウトライダー』編集長の菅生雅文さんと、盛岡在住の文芸作家・斎藤淳さんの二人は、仕事(ロケ)で一緒に岩手県内の被災地をバイクで巡った経験を語った。菅生さんは、「大船渡や宮古など、被害の大きかった地域を訪ねたが、バイクだと物見遊山のツーリングにしか見えないから、後ろめたい気持ちがあった。ところがどこに行っても、地元の人たちは『遠くからバイクでよく来たね』と声をかけてくれた。そのたびに、『バイクで来てよかったんだ』と強く思い直した」と振り返る。
斎藤さんも、「被災地の人たちは、バイクに対して本当にウエルカムだった。だから、多くのライダーがためらうことなく東北を訪れて、自分の目で被災地を見て、そのことを周りの人にも話してほしい」と話した。

菅生雅文さん

菅生雅文さん

斎藤淳さん

斎藤淳さん

3年前から「走ろう東北! MFJ復興応援ツーリング」を展開しているMFJの隠岐直広さんは、「日本では今年も大きな自然災害が続いている。被災地のことを忘れないためにも復興応援ツーリングを続けていきたい」という。

隠岐直広さん

隠岐直広さん

一関市在住の伊勢ひかるさんは、「ここには日本屈指のモトクロス場、藤沢スポーツランドがある。毎年、全日本選手権が行われているので、ぜひ観戦にきてほしい。そういうことが被災地の励みになる」と、地元をPR。

伊勢ひかるさん

伊勢ひかるさん

岩手県の観光振興に取り組む戸舘弘幸さんは、「バイクに乗る人は熱い気持ちのある人が多い。全国から大勢のライダーに岩手に来てもらって、バイクを楽しんでいる姿をみせてほしい」と話した。

戸館弘幸さん

戸館弘幸さん

被災地のためにライダーには何ができるか。それはツーリングで現地を訪れるだけでもいい。外から人がやってくる嬉しさが、被災地の人たちの勇気になる。自然災害の多い日本にあって、被災地に対するライダーのそうした“寄り添い”は、バイクによる社会貢献(文化の創造)の一つとして大いに意義があるのではないか。そのことを問題提起する貴重なディスカッションだった。

二輪車の潜在需要は大きい「ポジティブに捉えて!」

〈トーク対談 出席者〉
合田英了さん・JMR生活総合研究所 取締役
埜邑博道さん・枻出版社 取締役
トーク対談

トーク対談

続いてステージは「国内バイク市場の将来展望を語る」と題して、二輪車の市場動向などの分析を行っている合田英了さんと、二輪専門誌などさまざまな趣味マガジンを出版している枻出版社・埜邑博道さんの対談が始まった。
まず、近年の日本の二輪車市場について、調査結果をもとに合田さんがポイントを紹介した。「最近は、若い年代の需要動向がいい兆しを見せていて、とくに250ccクラスのスポーツタイプへの人気が出ています。一方、二輪の新車購入者の平均年齢が52.7歳と、高年齢化しています。60歳を過ぎても乗り続けている人が多い点も日本市場の特徴です」と話した。
これを受けて埜邑さんは、「欧州では70歳、80歳でも乗っている人がたくさんいます。国内の二輪車市場を押し上げるには、若い層の新規需要が肝心ですが、既存ユーザーをいかに維持していくかも大切。50代のライダーがあと30年も乗るとなれば、そこに向けたマーケティングや投資は重要な取り組みになります」と指摘した。

合田英了さん

合田英了さん

続いて合田さんは、「二輪車は、潜在需要が大きい商品なのです。運転免許はないけれどいつか乗りたいという人、免許はあるけどまだバイクを持っていない人、レンタルバイクのユーザー、中古車ユーザー、みんな新車の潜在需要層といえます」と話す。
埜邑さんは、「バイクに乗りたいという人たちはたくさんいるわけですから、二輪車業界はもっとポジティブに考えて、ノンユーザーがバイクに触れる機会をどんどんつくるべき。たとえば都内の人の多いスポットで毎週展示会を実施して、バイクを見せて、触らせて、跨ってもらう。自分たちから市民のなかに飛び込んでいくことが大事です」と話を締めくくった。

埜邑博道さん

埜邑博道さん

二輪車の未来のために! 熱い意見が続々

〈パネルディスカッション② 出席者〉
宮城 光さん・元GPライダー(モデレーター)
松下尚司さん・『オートバイ&RIDE』編集長
原田英里さん・『ガールズバイカー』編集長
北村明広さん・クレタ代表取締役
パネルディスカッション②

パネルディスカッション②

パネルディスカッション②は、「バイクユーザーを未来へ導く」がテーマ。元GPライダーの宮城光さんがモデレーターを務め、二輪専門誌の編集長らを招いて、自由な発言が展開された。
『オートバイ& RIDE』編集長の松下尚司さんは、「二輪車業界は、市場の閉塞感を若者のバイク離れのせいにしがちだけれど、それは言い訳。若者だってバイクに乗る子は乗ってる。大人がカッコよく乗ってみせれば、彼らはちゃんとその背中を見て、ついて来るんです。若者へ夢を語れるライダーになってください」と呼びかけた。

松下尚司さん

松下尚司さん

『ガールズバイカー』編集長の原田英里さんは、「バイクに対する女性の感性は、男性とはぜんぜん違います。アメリカンタイプを購入しにお店に行ったのに、スーパースポーツを買ってきたりする。バイクに関する知識は二の次で、感覚でやってしまう。そんな女性ライダーたちの将来のために、女性だからといって“甘やかさない”誌面作りを心がけています。いつかは女性もバイクに乗るのが当たり前の世の中にしたいから」と、女性ライダーの現状を紹介した。

原田英里さん

原田英里さん

『タンデムスタイル』などを出版しているクレタの北村明広さんは、BLFが目標にしている“国内二輪車市場100万台”を絶対にあきらめないでほしいと、切り出した。「そのためには日本の免許制度を変えたい。国際的に見たら日本の二輪車区分は独特で、ガラパゴス化しています。これからは日本も125ccを原付区分の標準にして、クルマの普通免許で運転できるようにすべきです」と、法制改正の必用性を強調した。

北村明広さん

北村明広さん

最後に宮城さんも自分の思いを述べた。「私は最近、大人向けのバイクレッスンをしています。なかには65歳で二輪免許を取得した人もいます。私はその人に、『あと35年は楽しめます』と言います。日本は人生100年時代です。みなさん100歳まで乗りましょう。そのために、ぜひ健康で素敵な毎日を!」と呼びかけ、会場からは大きな拍手が上がっていた。

宮城光さん

宮城光さん

日本のバイク文化・環境は良質化してきた

「総評」では、一般社団法人日本自動車工業会 二輪車特別委員会・日髙祥博委員長が感想を述べた。「バイクを取り巻くいろいろな事がよくなってきていると感じました。東北復興の支援に取り組む社会性の高いライダーが多いことは素晴らしいと思う。日本のバイク文化が良質化していることを広く知らしめたい。バイクの利用環境については、二輪車の高速道路料金の適正化に向けて兆しが出てきたし、原付二種の運転免許についてもハードルが少し下がったと思います。これからもライダーがたくさん集まってくれるような社会性の高いイベントを実施していきたい。バイク文化のさらなる良質化を進め、知恵を出し合い、100万台の目標をあきらめずにがんばっていきたい」とまとめた。

日高祥博委員長

日高祥博委員長

次回BLFの開催地は山梨県に決定

最後に、2019年のBLFは山梨県で開催されることが発表された。山梨県は、富士五湖周辺など素晴らしいツーリングコース、温泉、キャンプ場など、最高のロケーションに恵まれている。全国オートバイ協会組合連合会の大村直幸会長は閉会の挨拶で、「今年も熱いディスカッションが展開されました。来年は山梨です。富士を登るごとく、バイクのギアを1段2段と上げられるよう頑張りましょう」と話し、会場を見渡していた。

大村直幸会長

大村直幸会長

日本自動車工業会「Motorcycle Information」/2018年9月号ズームアップより
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF: BLF2018